最終更新日 2020/11/04
賃貸物件でトイレが故障したら、どうすれば?

賃貸物件で次のようなトラブルが発生した場合、
借主は、何をすべきなのでしょうか?
- 賃貸物件のトイレが故障して、使えない
- 賃貸物件のエアコンが故障して、使えない
- 賃貸物件に雨漏りが発生して、使えない
- 自分で修理する?
- 修繕義務は、誰にあるのでしょうか?
- 勝手に修繕しても大丈夫のでしょうか?
修繕義務は誰にある?

建物を賃借(有料で借りる)するには、
貸主(大家)と借主との間で建物の賃貸借契約を締結します。
賃貸物件の修繕義務は、一般的な建物賃貸借契約の中には含まれています。
仮に、修繕義務に関する取決めが契約書の中に含まれていなければ、
民法などのルールに従って決まることになります。
民法606条では、貸主には賃貸物の使用及び収益に必要な修繕義務がある
と定めています。(2020年3月以前の民法でも同様)
ただし、その損傷について借主に故意または過失があれば、
借主が修繕費用を負担しなければなりません。
(例 家の中でサッカーをしていたら、体がぶつかって壁に穴が空いた。)
そこで、一般的な建物賃貸借契約書では、
その貸主の修繕義務の一部を借主に負わせるように修正されています。
もっとも、大規模な修繕の義務を借主に負わせるような契約だと
消費者契約法などが問題になることもあります。(ここでは割愛)
元々設置されているトイレの修繕義務は、
通常は、貸主にあると考えられます。
エアコンの修繕義務は、
そのエアコンが賃貸物件の設備として設置されているのであれば、
その修繕義務は、通常、貸主にあるでしょう。
設備として設置されている訳ではなく、
例えば、前の借主が付けたエアコンをそのままにして、
たまたま存在しているという状況であれば、
貸主には修繕義務がないと考えられます。
雨漏りの原因が建物の壁・天井などの亀裂などであれば、
その修繕義務は、通常、貸主にあります。
具体的には、何をすれば良いの?

もしも賃貸物件の修繕が必要になった場合は、
すぐに貸主に報告ましょう。
民法615条で、借主には、貸主に対して賃貸物件の損傷を報告する義務があります。
この報告と合わせて、修繕を請求しましょう。
損傷の発生に気付いていたにもかかわらず
それを放置していたことで損傷が大きくなったりすると、
拡大した損傷や損害について借主に賠償責任が発生することがあります。
修繕の請求を受けた貸主は、損傷部分などを確認し、
適切な期間内に修繕をしなければなりません。
適切な期間とは、その損傷の箇所や程度などに応じて合理的に必要な期間
という感じで、曖昧です。
修繕できていない状態でその期間を超えると
修繕義務の不履行責任が発生します。
この点について、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が定めた
「貸室・ 設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」によると、
例として、賃貸人の免責期間は、トイレが故障で使えない場合で1日
となっています。
修繕してくれないときは、どうすれば?

いつまで経っても修繕してくれない場合、困りますよね。
貸主が修繕義務を履行しない場合は、
債務不履行による責任を負います。
具体的には、借主に生じた損害を賠償する義務や
借主に契約の解除権が発生したりします。
損傷の程度などにもよるでしょう。
民法608条では、借主が、貸主が負担すべき費用を支出したときには
その償還を請求できる
と定められています。
しかし、一般的な賃貸借契約書では、
貸主の指定する業者を利用するように取り決められています。
勝手に修理しても費用を支払ってくれないおそれがありますし、
退去時の原状回復でも費用請求を受けるおそれがあります。
基本的は、勝手に修繕せずに、一度、貸主に連絡をしたほうが無難です。
賃料の減額請求が必要という判例がありますので、
貸主に対して賃料の減額を請求をしましょう。
また、減額請求とは別の権利として、
使用収益ができない割合に応じて賃料の一部の支払いを拒否できる権利
も発生しますので、その権利も行使できます。
賃貸人が一部の賃料では受け取らない、という場合は、
法務局に供託するという返済に代わる手続きを検討しましょう。(ここでは割愛)
減額される程度について、面積であれば少しは算出しやすそうですが、
トイレの故障だったら、面積の問題ではないですよね。
この点について、先ほど紹介した公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が定めた
「貸室・ 設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」によると、
例として、賃料の減額割合は、トイレが故障で使えない場合で賃料の20%
となっています。
(または、その前から住んでいても、合意更新があった場合)
民法が改正されて、賃貸物件の一部について使用収益ができなくなった場合、
その割合に応じて、賃料が当然に減額されることになりましたので、
減額請求は必要ありません。
賃貸人が一部の賃料では受け取らない、という場合は、
上記と同様に、法務局に供託するという返済に代わる手続きを検討しましょう。(ここでは割愛)
もっとも、2020年3月以前に契約している場合、
新ルールが適用されるのか明確でないこともありますので、
自己判断せずに、専門家に相談してください。
余談ですが、、、

日本国内における住宅用の賃貸物件は、
「平成30年住宅・土地統計調査結果 」(総務省統計局)によると
借家が約1906 万戸で、住宅総数に占める割合は約35% らしいです。
住宅全体に占める賃貸住宅の割合は、近年、徐々に増加しているようですので、
こういったトラブルも今後ますます増えていくかもしれません。
条文など
(法務省 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html
貸室・ 設備等の不具合による賃料減額ガイドライン
https://www.jpm.jp/topics/2553
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