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代表取締役の住所の非表示制度って、どんな感じ?司法書士が解説します

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最終更新日 2026/08/17

 

会社や法人の代表者になると、その方個人の自宅住所が登記簿に記載され、第三者から確認できる場合があります。

「会社を経営しているだけなのに、自宅の住所まで誰でも調べることができるのは困る。」
このように感じる経営者の方もいらっしゃると思います。

この問題に対応するため、代表取締役等住所非表示措置という制度が2024年10月から始まっています。

さらに、2026年7月、法務省はこの制度を大幅に拡大する省令案を公表しました。
2026年12月から、株式会社以外の会社や、医療法人、学校法人、NPO法人などの各種法人等にも対象を広げる予定です。

この記事では、現在の制度と、2026年に予定されている改正について、会社・法人の経営者の方向けにできるだけ分かりやすく解説します。

 

まず具体例 住所はどこまで見えなくなるの?

 

この制度を利用すると、代表取締役等の住所の一部が表示されなくなります。

例えば、次の住所が登記されているとします。

現在 福岡市博多区博多駅前3丁目7番1号

非表示措置後 福岡市博多区

代表取締役等住所非表示措置を利用した場合の登記簿の表示例(法務省ホームページから引用)

ここで注意していただきたいのは、「住所を登記しなくてよくなる制度」ではないという点です。

法務局には、従来どおり「福岡市博多区博多駅前3丁目7番1号」という完全な住所が登記されます。

そのうえで、一般の人が取得する登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)や登記事項要約書などでは、行政区画より後ろの住所を表示しない仕組みです。

指定都市である福岡市の場合は「福岡市博多区」まで表示され、それより後ろが表示されなくなります。

 

制度趣旨

 

会社の代表取締役等の住所は、会社の登記簿に記載される情報です。

登記事項証明書は誰でも取得できますし、「登記情報提供サービス」を利用してインターネットから登記情報を確認することもできます。

そのため、自宅住所が第三者に知られ、SNSなどで拡散されたり、見知らぬ人が自宅を訪問したりすることへの不安が問題となっていました。

そこで、会社・法人に関する情報公開の必要性と代表者個人のプライバシー保護とのバランスを図るために設けられたのが、この住所非表示制度です。

 

現在の対象となる法人・対象者

 

2026年8月17日現在、通常の住所非表示措置を利用できるのは株式会社です。

特例有限会社、合同会社などの持分会社、一般社団法人、医療法人、学校法人、NPO法人などは、現在の制度では対象外です。

対象となるのは、住所が登記される次の役員です。

・代表取締役
・代表執行役
・代表清算人

ただし、この対象範囲が2026年12月から大幅に広がる予定です。

 

2026年12月 株式会社以外にも対象を大幅拡大する予定

 

法務省は2026年7月24日、「商業登記規則等の一部を改正する省令案」を公表しました。

この改正案では、現在は株式会社に限られている制度を、全ての会社に拡大するとされています。

例えば、現在は対象外となっている次のような会社も対象となる予定です。

・合同会社
・合名会社
・合資会社
・特例有限会社 など

さらに、「会社以外の法人」等にも制度を広げる改正案となっています。

例えば、

・一般社団法人、一般財団法人
・医療法人
・学校法人
・社会福祉法人
・NPO法人
・宗教法人
・司法書士法人、行政書士法人などの士業法人
・その他の各種法人等

についても、住所が登記事項となっている代表者等について、非表示措置を利用できる範囲が大きく広がる予定です。

また、インターネットで登記情報を確認できる「登記情報提供サービス」についても同様の措置が予定されています。

施行時期は2026年12月が予定されています。

ただし、2026年8月17日現在は、まだ「省令案」の段階です。
正式な施行日、対象者、具体的な申出方法などについては、正式な省令の公布後に改めて確認する必要があります。

 

注意! 2026年12月に全部変わるわけではありません

 

今回のニュースで少し分かりにくいのが、この点です。

政府は、対象となる法人を増やすだけではなく、現在の住所非表示制度そのものを使いやすくすることも検討しています。

2026年7月21日に閣議決定された「規制改革実施計画」では、次のような改善方針が示されています。

① 過去に登記された住所についても非表示の対象にする
② 登記申請と同時でなくても、住所非表示だけを申し出られるようにする
③ 代表者本人やその委任を受けた人が、完全な住所の記載された登記事項証明書等を取得できるようにする
④ 銀行融資や不動産取引などで困らないよう、制度や確認書類について周知を改善する
⑤ 正当な理由がある第三者が代表者の住所を確認するための手続を改善する

ただし、①~③などが2026年12月から同時に始まると決まったわけではありません。

2026年12月の省令改正案で具体的に予定されているのは、主として「対象となる会社・法人等を広げること」です。

過去の住所を非表示にすることや、好きな時期に単独で申し出ることなどについては、2026年度中に結論を出し、その後速やかに措置する予定とされています。

 

過去に登記された住所はどうなるの?

 

現在の制度では、非表示措置をする前にすでに登記されている過去の住所まで消えるわけではありません。

例えば、

以前からの登記
福岡市博多区博多駅前3丁目7番1号

その後、重任登記などの際に住所非表示措置を利用
福岡市博多区

という場合でも、過去に登記された住所の表示が残ることがあります。

これでは、せっかく現在の住所を非表示にしても、過去の登記記録から同じ住所を確認できてしまうことがあります。

政府もこの問題を認識しており、過去に登記された代表者等の住所についても非表示の対象とする方向で検討することになっています。

この点は、実務上かなり大きな改善になると思います。

 

現在の利用方法、タイミング

 

2026年8月現在は、一定の登記手続きを法務局に申請する際に、同時に非表示の申出をする必要があります。

代表的なものは次の登記です。

① 設立登記
② 他の管轄の法務局へ本店移転する場合の新本店所在地での登記
③ 代表取締役等の就任(重任を含む)登記
④ 代表取締役等の住所変更による変更登記
⑤ 清算人・代表清算人についての一定の登記

つまり現在は、

「特に登記する予定はないけれど、今日から自宅住所だけ非表示にしたい。」

という申出を単独ですることはできません。

この点についても、政府は将来、登記申請と同時でなくても非表示措置を申し出られるようにすることを検討しています。

一方、非表示措置をやめて通常の表示に戻す旨の申出は、登記申請と同時でなくても行うことができます。

 

一度非表示にしたら、重任登記のたびに再度申出が必要?

 

ここは、以前の記事から補足・修正しています。

すでに住所非表示措置を受けている代表取締役等について、住所に変更がない重任・再任等の登記をする場合には、原則として改めて住所非表示措置の申出をする必要はありません。

同じ住所を登記する場合には、非表示措置が引き続き行われます。

これに対して、引っ越しなどで代表取締役等の住所そのものが変わった場合には、住所変更登記と併せて改めて非表示措置の申出をする必要があります。

 

住所を非表示にした後に引っ越したら?

 

住所が一部非表示になっていても、法務局には完全な住所が登記されています。

したがって、代表取締役等が引っ越して住所が変わった場合には、従来どおり住所変更登記が必要です。

例えば、

登記簿上の表示 福岡市博多区
法務局に登記されている完全な住所 福岡市博多区博多駅前3丁目7番1号

次の住所に引っ越したとします。

新住所 福岡市博多区博多駅前3丁目7番10号

登記事項証明書の見た目ではどちらも「福岡市博多区」ですが、法務局に登記されている住所は変わっています。

そのため、新しい住所への変更登記が必要です。

株式会社の場合、登記事項に変更が生じたときは、原則として変更から2週間以内に変更登記をする必要があります(会社法第915条第1項)。

そして、新しい住所についても非表示を希望する場合には、住所変更登記と同時に改めて非表示措置の申出をします。

 

デメリットはないの?

 

プライバシー保護という点では大きなメリットがありますが、利用前に確認しておいた方がよい点があります。

住所非表示措置を利用すると、通常の登記事項証明書には代表取締役等の完全な住所が表示されません。

そのため、例えば、

・銀行から融資を受ける場合
・銀行口座の手続きをする場合
・会社が不動産を売買する場合
・重要な契約を締結する場合

などに、相手方から別の本人確認資料や住所確認資料を求められる可能性があります。

会社の代表取締役の印鑑証明書(法務局が発行するもの)には、会社名、本店、代表者の資格・氏名・生年月日などが記載されますが、代表者の自宅住所は記載されません。

したがって、会社の印鑑証明書だけで代表者の完全な住所を確認できるわけではありません。

会社の印鑑証明書の見本

実際にどのような追加資料が必要になるかは、銀行や取引先などによって異なる可能性がありますので、重要な取引を予定している場合は事前に確認してください。

なお、政府もこの問題を認識しています。

2026年の規制改革実施計画では、金融機関、不動産取引関係者、司法書士その他の関係事業者に対して制度や住所確認書類について情報提供を行うことや、代表者本人等が完全な住所の記載された登記事項証明書等を取得できる仕組みを検討することとされています。

 

申出の際に負担はないの?

 

以下は、2026年8月現在の株式会社についての手続です。

非表示措置の申出の際には、通常の登記申請の書類に加えて、一定の確認書類が必要になります。

※中小企業の場合、準備する書類がそれなりにあります。

住所非表示措置の申出そのものについて、法務局の追加手数料はかかりません。
司法書士に手続きを依頼する場合には、司法書士の報酬・手数料がかかります。

 

上場会社以外の株式会社の場合 ※ほとんどの中小企業はこちら

大きく分けて、次の3種類の確認が必要です。

(1) 会社が本店所在地に実在していることの確認
(2) 代表取締役等の氏名・住所の確認
(3) 会社の実質的支配者の確認

 

(1) 会社が本店所在地に実在していることの確認

例えば、次のいずれかの方法があります。

・その株式会社を受取人として、本店所在地に配達証明郵便を送り、所定の書類を提出する方法

・登記申請を受任した司法書士等の資格者代理人が、その株式会社の本店が登記上の所在地に実在することを確認した書面を提出する方法

配達証明郵便を利用する場合には、配達証明書のほか、会社の商号と本店所在地等が確認できる郵便物受領証などが必要になります。

※配達証明書等に記載された株式会社の商号や本店所在地が登記記録と合致しない場合には注意が必要です。

資格者代理人による実在確認を利用する場合、登記申請を業として代理することができる司法書士等による確認が必要です。

(郵便物受領証の見本、郵便事業者ホームページから引用)
郵便物受領証の見本

 

(2) 代表取締役等の氏名・住所の確認

例えば、次のような書類を提出します。

・住民票の写し
・戸籍の附票の写し
・印鑑証明書
・運転免許証、個人番号カード等のコピーに、本人が原本と相違ない旨を記載して記名したもの など

同じ書類を登記申請そのものの添付書類として提出している場合には、非表示措置のために重ねて提出する必要がない場合があります。

 

(3) 実質的支配者の確認

例えば、次のような書類・方法があります。

・登記申請を受任した資格者代理人が、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づいて確認した実質的支配者の本人特定事項に関する記録の写し等

・定款認証の際に公証人に申告した実質的支配者に関する一定の証明書

・法務局の「実質的支配者リスト制度」を一定期間内に利用していることを登記申請書に記載する方法 など

会社の状況や登記の内容によって必要書類が変わりますので、実際に利用する場合には個別に確認することをおすすめします。

なお、すでに住所非表示措置を受けている株式会社について改めて申出をする場合には、必要書類の一部を省略できる場合があります。

 

株式上場している株式会社の場合

株式が上場されていることを確認できる金融商品取引所のホームページの写しなどを提出する方法があります。

2026年12月の制度拡大後に、株式会社以外の会社・法人等について具体的にどのような書類が必要になるかは、正式な省令や法務省の取扱いが公表された後に改めて確認する必要があります。

 

この制度、実際にはどのくらい利用されているの?

 

内閣府が2026年7月に公表した資料によると、2026年3月までの住所非表示措置の累計実施件数は19,112件です。

制度開始から約1年半で約1万9千件が利用されたことになります。

一方で、現在は株式会社しか利用できないこと、申出ができるタイミングが限定されていること、必要書類の準備が必要なことなど、利用しにくい部分もあります。

今回予定されている制度改正には、こうした使いにくさを改善する目的もあります。

 

非表示措置を解除することはできる?

 

はい。

会社から法務局に住所非表示措置を希望しない旨を申し出て、通常の表示に戻すことができます。

この申出は、登記申請と同時でなくても行うことができます。

また、会社の本店が登記上の所在地に実在すると認められない場合や、上場会社として非表示措置を受けていた会社について上場会社でなくなったと認められる場合などには、登記官によって非表示措置が終了することがあります。

したがって、住所非表示措置を利用しても、会社の本店を登記どおりの場所に適切に置いておくことは重要です。

 

その会社の代表者の住所を確認する必要がある場合はどうすれば?

 

住所非表示措置は、代表者の住所を法務局から完全に消してしまう制度ではありません。

例えば、裁判をするために相手方会社の代表者住所を確認する必要があるなど、正当な理由がある場合には、商業登記法第11条の2に基づく登記簿の附属書類の閲覧請求などによって住所を確認できる場合があります。

ただし、誰でも自由に閲覧できるわけではありません。

利害関係や閲覧する正当な理由を示す資料が必要になります。

現在の実務では、利害関係を証明する資料として訴状案の写しなどを求められることがあり、住所を確認するまでに時間がかかるという問題も指摘されています。

政府は2026年の規制改革実施計画で、訴状案以外の書類でも利害関係を証明できることを明確にすることや、正当な理由がある第三者等が代表者住所をより迅速に確認できる仕組みについて検討する方針を示しています。

 

どんな人に利用価値が高そう?

 

個人的には、特に次のような方は、この制度を利用するメリットが比較的大きいと思います。

・自宅を会社代表者の住所として登記している方
・ホームページやSNSなどで代表者氏名を広く公表している方
・不特定多数の顧客と接する事業をしている方
・自宅住所をインターネット上などで特定されることに不安がある方

2026年12月の改正が予定どおり実施されれば、これまで利用できなかった合同会社の代表社員や、医療法人、学校法人、NPO法人などの代表者等にも検討の機会が広がります。

一方で、銀行融資や不動産取引などを予定している場合には、相手方がどのような本人確認・住所確認を求めるかを事前に確認してから利用を決めるのも一つの方法です。

雑感など

 

この制度が始まった2024年当時は、必要書類も多く、銀行や不動産取引などでどのように取り扱われるか分からない部分も多かったため、このページでも慎重な利用をおすすめしていました。

その後、実際の利用件数も増え、さらに政府は2026年に「対象となる法人を広げる」「過去住所も非表示にする」「登記がなくても申出できるようにする」「本人等が完全住所入りの証明書を取得できるようにする」という方向を明確にしました。

制度としては、かなり使いやすくなる方向に進んでいると思います。

特に、自宅住所の公開を理由に法人設立や代表者への就任をためらっている方にとっては、利用価値のある制度になっていくでしょう。

もっとも、2026年12月の改正予定と、その後の制度改善は別の話です。

省令が正式に公布された際には、このページも再度更新したいと思います。

 

まとめ

 

ポイントをまとめます。

・現在は、株式会社の代表取締役、代表執行役、代表清算人の住所について、一部を非表示にできる。

・完全な住所を法務局に登記しなくてよくなる制度ではなく、登記事項証明書などへの表示を一部省略する制度。

・現在は、一定の登記申請と同時に非表示措置を申し出る必要がある。

・2026年12月から、合同会社などの他の会社や、医療法人、学校法人、NPO法人などの各種法人等へ対象を大幅に広げる予定。

・過去に登記された住所の非表示、登記と関係なく申し出られる制度、本人等が完全住所入りの証明書を取得できる制度などは、別途検討中。

・住所が変わらない重任等では、すでに非表示になっていれば原則として非表示が継続する。

・引っ越して住所そのものが変わった場合には、住所変更登記と改めて非表示措置の申出が必要。

制度の利用を検討する場合には、ご自身の会社・法人の種類、現在の登記内容、今後予定している登記、銀行融資や不動産取引の予定などを確認したうえで判断することをおすすめします。

 

項目 現在 2026年12月の省令改正案 さらに検討中
株式会社
合同会社・合名会社・合資会社 × ○へ拡大予定
一般社団・一般財団法人 × ○へ拡大予定
医療法人 × ○へ拡大予定
学校法人 × ○へ拡大予定
NPO法人 × ○へ拡大予定
宗教法人等 × ○へ拡大予定
過去に登記された住所 原則表示されたまま 今回の省令案では対応しない 非表示化を検討
登記申請とは無関係な時期の申出 原則不可 今回の省令案では対応しない 単独申出を検討
本人だけ完全住所入り証明書を取得 不可 今回の省令案では対応しない 取得可能化を検討

条文・公的資料など

現行制度の主な根拠は、商業登記規則第31条の3です。

代表取締役等住所非表示措置について(法務省)

「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集(e-Gov・法務省)

規制改革実施計画(令和8年7月21日閣議決定・内閣府)

規制改革実施計画 実施事項説明資料(内閣府)

現行制度:商業登記規則第31条の3
現行制度創設:商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)

 

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相続登記の申請義務化は 4月から開始

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個人情報も書かれている登記簿。閲覧できる資格は? 登記の専門家が解説!

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最終更新 2020/04/13

登記簿には個人情報が記載されている?

不動産の登記簿には、
所有者の氏名・住所や住宅ローンの内容などの個人情報も記載されています。

 

会社の登記簿には、
社名(商号)や役員の氏名、代表者の住所などの個人情報も記載されています。

 

登記簿謄本を見るために必要な資格は?

この不動産登記簿や商業登記簿を見ることのできる人は、
どんな人でしょうか?

  • 利害関係人?
  • 不動産業者?
  • 取引先?
  • 司法書士?
  • 行政機関?

 

どうでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

答えは、

誰でも見ることができます。資格も必要ありません。

閲覧目的で制限するような規制がありません。

だから、登記簿謄本を取得する際の請求書には、
取得理由を記載する欄もありません。

具体的には、
法務局で数百円の手数料を支払えば、
誰でも登記簿謄本(登記事項証明書)などを取得して、
その内容を確認することができるのです。

「住所などの個人情報が誰にでも見れちゃうんですか!?」
と驚く人もいらっしゃいます。

 

そもそも登記制度とは?

そもそも登記制度とは、大雑把に説明すると、

  • 不動産取引や商取引などの安全を図ることを目的として、
  • 「事実関係」や「権利関係」などの情報の一部を
  • 広く一般に公開する

ための制度です。

登記簿で公開される情報は、
取引の安全とプライバシー保護のバランスが考慮されて、
法律で細かく決められています。

 

なお、後見に関する登記は、
取引の安全よりもプライバシー保護のほうが重視され、
誰でも見ることができるようになっていません。

 

代表取締役の自宅住所の登記について

会社法では、会社設立時に「代表取締役の氏名及び住所」を登記するよう定めている。

訴訟が起きた場合、会社の事務所がなくても裁判所の管轄を決め、裁判書類を送付するためだ。

これに対し、個人情報保護の点から問題視する声が強まり、法務省は昨春から議論を始めた法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会に、裁判に訴える場合など弁護士ら「利害関係」のある人にだけ開示する原案を示していた。

 部会では、経団連経済同友会など経済界は、本社や支社などで対応できるので「会社の住所で十分」と主張。

一方、機関投資家や弁護士会、大学研究者は「経営者には社会的責任がある」「会社の計画倒産や詐欺被害があった場合に備え、代表者の自宅住所は必要」と反論した。」

(2018年12月13日朝日新聞デジタルから引用)

 

株式会社の代表取締役は、その氏名と自宅の住所が登記簿に記載されて公開されています。

この自宅住所を登記しなかったり、閲覧できないようにしたりすることはできません。

 

現在は、インターネットを利用して登記簿を簡単に閲覧できるようになっています。

(登記情報提供サービス)

https://www1.touki.or.jp/

 

この代表取締役の自宅住所が公開されている点については、
ストーカーや犯罪などによる被害を防止する観点から、
経済界から非公開を求める声が強くなっているようです。

 

そのような要望を受けて検討された結果、
今後の法改正の方針が決まりました。

1 インターネットでの登記簿閲覧では、
代表取締役の自宅住所が表示されないように
システムの仕様を変更する。

(法務局の窓口に登記事項証明書などを請求すれば、
これまでどおり、代表取締役の住所が記載された登記簿を
確認することができます。)

 

2 株式会社の代表者がDV被害者等である場合に
代表者の自宅住所を登記事項証明書に表示しないことを法務局に求めたときに、
法務局が相当性を審査のうえ、
自宅住所を登記事項証明書に表示しないようにすることができる。

 

改正時期は、未定です。

 

(以下、法務省ホームページより一部引用)

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900391.html?fbclid=IwAR1o3PTHL3Jz7PsbXi37vwTkdYpbZTJGpkfI6E79yN_4y_tXoJ78d6_WlE4

 

関係条文など

法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第19回会議(平成31年1月16日)開催

議題等

 会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案(案)について

議事概要

(省略)
 また,以下の内容の附帯決議がされた。

1 (省略)

2 株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書に関する規律については,これまでの議論及び当該登記事項証明書の利用に係る現状等に照らし,法務省令において,以下のような規律を設ける必要がある。
 (1) 株式会社の代表者から,自己が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者その他の特定の法律に規定する被害者等であり,更なる被害を受けるおそれがあることを理由として,その住所を登記事項証明書に表示しない措置を講ずることを求める旨の申出があった場合において,当該申出を相当と認めるときは,登記官は,当該代表者の住所を登記事項証明書に表示しない措置を講ずることができるものとする。
 (2) 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律に基づく登記情報の提供においては,株式会社の代表者の住所に関する情報を提供しないものとする。

 

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登記簿謄本には有効期限があるの? 登記の専門家が解説!

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登記簿謄本には有効期限があるの?

法人(会社も)の登記簿謄本や不動産の登記簿謄本(※1)
(登記事項証明書、履歴事項証明書などのことをいいます。)、
「発行から3か月以内のもの」を提出してください
なんていうことを役所や銀行などで言われた経験はありませんか?

※1 登記制度には後見登記簿などもありますが、今回は、法人登記簿と不動産登記簿を前提にして解説しています。

 

法人登記簿謄本の見本

 

不動産登記簿謄本の見本

 

 

 

 

登記簿謄本に有効期限の真相

 

仕事柄、「登記簿謄本の有効期限って、何か月なのですか?」
という質問を受けることがしばしばあります。

その質問を受けたときは、
「提出先に指示された期限内のものを準備してください。」
とご案内しています。

結論としては、
登記簿謄本それ自体に、有効期限というものはありません!
提出を求める側が「10年前のものでも構わない」ということであれば、それで構いません。

 

 

そもそも登記制度とは?

 

それは、どうしてなのか?
そもそも登記制度とは、大雑把に説明すると、
不動産取引や商取引などの安全を図ることを目的として、
「事実関係」や「権利関係」などの情報の一部を一般に公開するための制度です。

☆その公開された情報の内どの部分をいかなる目的で利用するのかは、
その利用者の自由だからです。

(もっとも、10年前のものでも構わないという場合は、実際には少ないと思いますが。)

 

 

求められることが多い有効期限

 

登記簿謄本自体に有効期限はない、と説明しました。

しかし、実際には、登記簿謄本の提出を求められる場合には、
一定の期限内のものでなければならないときがほとんどです。

そしてそれは、「発行日から3か月以内のもの」が多いように思います。

時折、「発行日から6か月以内のもの」や「発行日から1か月以内のもの」という場合もありますが。

ですので、登記簿謄本の提出を求められた場合は、
相手方が有効期限について説明しなくても、
一応、有効期限があるか否かを確認なさることをお勧めします。
(二度手間にならないように。)

 

 

どうして有効期限を設けるのか?

 

どうして有効期限を設けるのでしょうか?

それは、先ほど説明した登記制度の仕組みと目的にあります。

そもそも登記制度とは、大雑把に説明すると、
不動産取引や商取引などの安全を図ることを目的として、
「事実関係」や「権利関係」などの情報の一部を一般に公開するための制度です。

☆事実関係や権利関係などは、月日の経過によって変わります。

例えば、所有者が死んで相続が発生したり、社長が解任されて交代したり、などです。

どの時点の情報を必要とするのかにもよりますが、
通常、これから不動産を買おうとしたり、これから商取引をしたりする場合は、
少なくとも現在の事実関係や権利関係を先に把握しなければなりません。

その不動産を買おうとするのであれば、
現在の所有者からしか買うことができませんから、
現在の所有者を確認しなければなりません。
(過去に所有者だったとしても、
その所有者が他人に売却して、
現在はその他人が所有者として登記されていることがあります。)

その会社と新たに契約して取引を始めようとするのであれば、
そもそもその会社が存在しなければ契約をすることができませんから、
現在、その会社が存在するのか確認しなければなりません。
(過去に存在した会社でも、現在は倒産して、法律上存在しなくなっていることがあります。)

 

☆権利や権限を持っていない人と話をすると、
時間の無駄になるだけでなく、
それが詐欺だったり、
無用なトラブルに巻き込まれたり
するおそれがありますから、気を付けましょう。
(でもこれ、実は、一般のかたにとっては意外と難しいことなんです。)

 

 

登記簿謄本の提出を求められる具体例

 

登記簿謄本の提出を求められる場合としては、
次のような場合があります。
(なお、これらに限られる訳ではありません。)

 

各種の行政手続をするとき

行政手続をするときに提出を求められる登記簿謄本の有効期限は、
ほぼ例外なく、法律や条例などに「○か月以内のものを提出せよ」
といった趣旨の定めが記されています。

 

裁判所の手続をするとき

裁判所で手続をするときに提出を求められる登記簿謄本は、
3か月以内とされています。

 

金融機関への融資などの申込みをするとき

金融機関で手続をするときも、
各金融機関が「○か月以内のものを提出させよ」といったようにルールを決めており、
そのルールに従って提出を求めています。

 

新規の取引先との間で契約をするとき

新規の取引先との間で契約をするときも、
相手方の企業が「○か月以内のものを提出させよ」
といったようにルールを決めており、
そのルールに従って提出を求めている場合もありますし、
その都度、現場レベルで案件に応じて提出を求めている
という場合もあるでしょう。

 

 

 

問題です

 

あなたが誰かから登記簿謄本の提出を求められた場合、
原本の提出が必要でしょうか?
それともコピーで足りると思いますか?

(ヒントと答えは、下へ スクロールしてください。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヒント)

問とは逆に、あなたが誰かに対して登記簿謄本の提出を求める場合、
原本の提出を求めますか?それともコピーの提出だけで済ませますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(答え)

有効期限と同じような考え方です。

☆登記簿謄本を提出させて、それを確認する目的を
ちゃんと達成できるかどうかによって変わります。

コピーの提出では不安だということであれば、原本の提出を求めます。

逆に、コピーが確認できれば特に問題ないということであれば、
コピーのみの提出を求めても構いません。

一旦原本を提出させて、自分でコピーをとってから返却する、
という方法もあり得ますね。

それを決めるのは、提出を求める側なのです。

ここまでの説明だと、「じゃ、コピーでも良いかな!」
なんて思われたかた、いらっしゃいますよね?

 

 

本当にコピーで良いのか!?

 

☆コピーを提出させた場合の最大の問題点は、
偽造や変造の危険が増すことです。

コピー機を利用して偽造文書や変造文書を作ることは、
コピー機の精度が上がり、
コンピュータによる画像加工技術が進歩したことなどによって、
素人でも簡単にできるようになってしまいました。

登記簿謄本の原本の偽造や変造ですら、
高性能の機器類や高度な技術を持っている人が行えば、
それを見破るのは容易ではありません。

☆偽造や変造がされた登記簿謄本を確認しても、
内容が事実と異なっていれば、確認した意味がありませんよね。

登記簿謄本は、1通あたり数百円で取得することができますから、
原則的には、原本を提出してもらうべきでしょう。
(事情によっては、自ら登記簿謄本を取得して、
原本を取得して確認すべきです。)

一旦原本を提出させて、自分でコピーをとってから返却するという方法の場合、
原本が偽造・変造されていた場合に、
原本が手元に保管されないため、後日の検証が難しくなりますからね。

 

証明書などの原本を提示させれば十分か?


2024/09/20追記

2020年には一般的には普及していなかった 生成AI が
2024年9月現在、誰でも簡単に利用できるようになりました。
公的な証明書などの原本に極めて類似した偽造品も、
以前に比べて容易になっているようです。

いうまでもなく、文書偽造罪などが問題になる犯罪行為です。
(こんなものが横行したら、社会に大変な混乱を招きます。)

誰かが「原本」と言って提示した証明書(例えば、登記事項証明書や運転免許証)が
本当に「原本」なのかを確認することが難しくなっているように思います。

(最近は、マイナンバーカードの偽造品が大量に
日本国内に出回っているというニュースがありました。
自動車運転免許証の偽造品も、それほど珍しくないようです。)

運転免許証なども、法令によって様式が変更されると、
「自分が持っている運転免許証」と「誰かから提示された運転免許証」
のデザインが少しでも違うと
仮にその運転免許証が真正な「原本」であっても、
原本と断定することには躊躇します。

そのような場合は、

運転免許証であれば、ICチップが内蔵されているので、
それを読み込んで原本確認するという方法があります。

登記事項証明書であれば、登記情報提供サービス
という登記簿の情報を直接閲覧したほうが安全ということになります。
(もっとも、元データがサイバーテロリストによって改変されている可能性を
完全に消し去ることはできません。)

もう切りが無いですね。。。

 

(大雑把ですが)まとめると次のようになりました。

・証明書などのコピーの偽造は極めて容易です。
・証明書などの原本の偽造も、それほど難しくありません
・証明書などの原本に偽造の疑いがあっても、それを偽造だと断定するのは容易ではありません
・証明書などに記載されている情報が正しいことを確認するためには
別の方法(登記情報提供サービスやICチップの読み込みなど)を検討する必要がある。

 

 

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司法書士 木崎正亮

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