契約書に関する よくあるご質問に 司法書士がお答えします!
2018/08/06
最終更新 2020/04/03
この記事の目次
契約書に関して受けることが多いご質問
Q 契約書にサインをしましたが、印鑑を押していないから、契約は成立していませんよね?
A ほとんどの契約は、当事者の口頭だけでも成立します。
例えば、売買契約であれば、
- 売買の当事者、
- 対象物を売ること、
- その代金を支払うこと
が決まれば、売買契約は成立します。
契約書の種類などにもよりますが、
契約書にサインをすれば、仮に押印がなくても、
有力な証拠として取り扱われる場合が多いので、
安易にサインすることは避けましょう。
もっとも、日本の場合、商慣行などにより、
押印が最終的な意思を確定させるといった意味を持つことがあります。
(一例として、不動産の売買契約)
場合によっては、サインがあっても押印がなければ、
「その契約は最終的に成立しなかった」
という結論になることもあります。
Q 「覚書」は、契約書ではないですよね?
A その文書に何が記載されているのかが大事です。
表題が「覚書」、「合意書」などになっている場合、
あるいは、表題の記載がない場合でも、
その文書に書かれている内容に契約成立のために
必要な事項が盛り込まれて入れば、
契約書として意味を持つことになります。
表題に惑わされないようにしましょう。
Q 契約書に貼付されるべき印紙が貼られていないけど、契約は有効?
A 契約書に貼付されるべき印紙が貼付されていなくても、
契約や契約書が無効になるわけではありません。
契約書には、印紙税が課税されることがあります。
これを課税文書といい、法令で決められています。
(例 不動産の売買契約書、売買の継続的基本取引契約書など)
しかし、印紙貼付の有無は、契約書の有効性に影響を与えません。
もっとも、印紙税は税金ですから、きちんと納めなければ
3倍支払わなければならなくなりますので、きちんと納めましょう。
1万円の収入印紙を貼付して消印等をすることが必要なのに、
その作業をしなかった場合には、3万円の納付を命じられます。
Q 商品代金を払ってくれません。売買契約書を作っていないから、支払請求は難しい?
A 売買契約は、口頭の約束で成立します。
したがって、売買契約書がなくても、相手方に代金請求することができます。
ただし、相手方がその請求の内容について、
例えば「あれは贈与だった」や「売買金額が違う」
などと争ってきた場合は、
売買代金の支払いを求めるアナタが
裁判所に対して、その主張する売買金額を証明しなければなりません。
その重要な証拠となるのが売買契約書です。
もっとも、売買契約書がなくても、
他の証拠資料を集めて裁判所に示し、説明して、
アナタの言い分が正しいことを証明できれば、
裁判所に主張を認めてもらえます。
(しかしそれは、簡単ではありません。)
Q 契約書は、インターネット上にある「ひな形」を使えば十分でしょ?
A その契約書を作成しようとする状況によっては、ひな形ではマズイこともあります。
契約書を作りたいと思った場合に、
インターネット上でひな形を持ってきて、
それを穴埋めして用いるという場合も多いかもしれません。
しかし、ひな形は、あくまでひな形です。
参考基準やチェックリスト的な役割はもっていますが、
ひな形の条項を十分に確認・検討せずに使うと、
後日当事者間で契約トラブルになったときに、
- 「なんでわざわざ自分に不利な条項を入れたのだろう」、
- 逆に「自分に有利な条項を入れておけば良かった」など
の結果をもたらすこともあります。
ひな形は、参考資料という位置付けで上手に利用してください。
Q 作った契約書を紛失しました。どこかで再発行できませんか?
A 通常は、再発行ということは難しいです。
入手方法としては、次のような方法が考えられます。
なお、これですべてではありません。一例です。
・その契約書を公正証書で作成していた場合は、手続をした公証役場に原本が保管されています。
・その契約書を法務局などの役所の提出したことがある場合は、
閲覧をさせてもらえることもあるかもしれません。
・相手方も契約書を保管している場合であれば、
相手方にコピーをさせてもらえないかお願いしたり、
作り直すことに協力してもらえないか相談してみましょう。
・司法書士などに依頼して契約書を作成した場合は、
司法書士がコピーなどを保管しているかもしれませんので、
問い合わせてみましょう。
上記のいずれでもダメな場合は、
その契約書の作成に至った過程で作られたメモなどの記録を
保存しておくようにしましょう。
特に金額が期限、当事者などは、重要な情報であり、
将来、役に立つこともあります。
まとめ
大切なのは、
- (1)本人の意思(売る・買う、貸す・借りる など)が本当に存在し(意思の存在)
- (2)意思が存在することをいかなる方法でもって確認し(意思の確認方法)
- (3)それを第三者が認識できる形で残せているのか(証拠の残し方)
という3つの視点です。
(他にも大切なことは沢山ありますけど、ここでは割愛)
当事者の一方が他方当事者が関与しないところで
契約書などの資料をねつ造しても契約は成立しません。
そこには他方当事者本人の意思が存在しないからです。
勝手に本人の印鑑を押したりすれば
有印私文書偽造の罪などになることがあります。
難しいときは、専門家に相談してみましょう。
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司法書士 木崎正亮
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司法書士・行政書士 木崎正亮
~相続と中小企業の法務ドクター~
博多駅の司法書士・行政書士 だいふく法務事務所
注:一般のかたにとって解りやすい説明を心がけています。
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