会社の設立登記が24時間で終わる!? 登記の専門家が解説!

2020/03/03
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最終更新 2020/03/03

 

株式会社と合同会社の設立手続が24時間で終わる!?

 

株式会社や合同会社「設立登記」※1

という法務局における手続審査が

登記申請の受付から24時間以内(原則)に終わることになりました。※2

(2020年3月17日から運用開始)

※1 一般社団法人などの他の会社や法人に関する設立登記には適用されません。

※2 2018年3月から、会社等の設立登記の手続審査は、
登記申請受付の翌日から3営業日以内に終わる運用になっていたため、
個人的には現在とそんなに変わらない印象です。
実際、申請から24時間以内に終わってもらえるケースもありましたから。

 

24時間ルールは法務局だけの話!

この「24時間」だけを見て、勘違いしないようにご注意ください。

株式会社の設立手続には、

「定款(ていかん)の認証」という手続が法務局の手続の前にあるので、

先に公証役場でその手続をしなければなりません。

また、会社の名称や事業内容、株主総会のルールなど

重要な事項を取り決める「定款」や関係書類を作ったり、

個人の印鑑証明書を手配したり、

出資金の払い込み作業などをしなければなりません。

 

24時間ルールが適用される場合は?

 

さらに、この「24時間」のルールの適用を受けるためには、

前提として「マイナンバーカード」を取得している必要があります。

 

このマイナンバーカードの電子認証機能(電子的な実印みたいなもの)を利用して、

関係書類のすべてに電子署名をする必要があります。

※ 細かいルールは、後記しています。

 

複数名で株式会社を作ろう、なんていう場合には、

1人でもマイナンバーカードを持っていない人がいると

この「24時間」ルールの適用を受けることができません。

 

この24時間ルールの適用を受けるためにマイナンバーカードを作ろう

なんてすると、あっという間に何日も経ってしまいます。

(2020年1月現在、マイナンバーカードの交付を受けるまでに、

申請受付から約1か月かかるようです。)

 

(余談ですが、私は、現在のマイナンバー制度に対して

疑問をもっているので、マイナンバーカードは作りません。

マイナンバー(個人番号)は勝手に付けられてしまいましたが。)

 

即日で新会社の登記事項証明書(登記簿謄本)や

新会社の印鑑証明書が必要となるようなケースは、

個人的な印象として、そんなに多くありません。

(たまにはありますが。)

 

定款の認証のほうが よほど面倒なのに

私は、会社設立手続を専門職として多数取り扱ってきましたが、

法務局における登記手続よりも、

公証役場における定款の認証手続のほうが

よほど面倒で、煩わしく感じます。

 

定款案を作ってから、公証人に事前確認してもらい、

実際にその公証人のいる公証役場まで誰かが行かなければならず、

さらに公証人も公証役場に常駐している訳ではないので、

事前予約などの段取りも必要になります。

 

具体的な進め方も、公証役場ごとにバラツキが結構あります。

 

管轄の問題もとても面倒です。※

テレビ電話方式は、過去記事をご覧ください。

 

※定款の認証は、会社の本店を置く予定地の都道府県内にある公証役場でしなければなりません。(例外なし)

 

まとめ

 

会社は作って終わりではない

会社の設立に必要な所要時間は、数十年前に比べると大幅に減少しました。

しかし、会社を作ろうとするときに、次のような事項をそれなりに検討できていますか?

 

  • そもそも本当にその会社を新たに作る必要があるのか
  • 会社や法人の種類がこれから実施しようとしている事業にマッチしているのか
  • 法人化すべき時期は、今すぐなのか、来月が良いのか
    あるいは、もっとずっと先でも良いのではないか
  • 法人化することのコスト(お金以外も)も十分な検討がされているのか

 

この程度の検討だけでも、24時間なんて簡単に過ぎてしまいます。

会社は作って終わりではありません。

会社は、事業目的を達成するための一つのツールでしかありません。

(もちろん、重要なツールではありますが。)

 

この時間短縮、簡便性だけに目がいって(資本金1円の会社みたいに。)

結果的に無駄なお金と時間を費やすことがないようにご注意ください。

 

条文など

「24時間以内処理」の対象

  オンラインによる株式会社及び合同会社の設立登記の申請のうち,以下の条件を満たすもの
 

○ 役員等が5人以内であること
 株式会社の場合は設立時役員等(設立時取締役,設立時会計参与,設立時監査役及び設立時会計監査人)が5人以内,合同会社の場合は業務執行社員が5人以内
○ 添付書面情報(定款,発起人の同意書,就任承諾書等)が全て電磁的記録(PDFファイル)により作成され,申請書情報と併せて送信されていること(完全オンライン申請)
 オンライン申請であっても,添付書面を登記所に持参又は送付する場合は,「24時間以内処理」の対象となりませんので,御注意ください。
 電磁的記録により作成された添付書面情報をオンラインにより送信するためには,作成者(株式会社の電子定款は作成者と認証者)の電子署名が付与されている必要があります。
 また,印鑑届書については,「登記の完了時期」を御参照ください。
○ 登録免許税の納付が収入印紙ではなく電子納付が利用されていること(電子納付が遅れると登記の完了が遅くなる可能性があります。)
○ 補正がないこと

(法務局ホームページから引用)

 

法務省ホームページ

http://www.moj.go.jp/MINJI/houjintouki.html

 


 

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