休日を会社の設立日(誕生日)にできるようになりました

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最終更新日 2026/08/26

 

会社を設立するとき、

「この日を会社の設立日(誕生日)にしたい!」

という希望があることがあります。

例えば、個人創業の記念日、自分や家族などの誕生日、
1月1日、4月1日など、
会社のスタートの日にこだわりたい場合です。

ところが、これまでは、その日が土曜日・日曜日・祝日など
で法務局が休みの場合、その日を会社の設立日にすることが
できませんでしたが、2026年2月に
変わりました。

2026年2月から、一定の条件を満たせば、
土曜日・日曜日・祝日などの休日を
会社等の設立日にすることができるようになりました。

会社設立を予定されている方にとっては、地味ですが、
意外と使い道のある制度改正だと思います。

 

まずは具体例

 

例えば、
2026年10月4日(日曜日)を株式会社の設立日にしたい
とします。

10月4日は日曜日なので、法務局は休みです。

これまでであれば、この日を会社の設立日にすることはできませんでした。

新しい制度では、直前の法務局の開庁日である
10月2日(金曜日)に設立登記を申請
して、所定の方法で
「10月4日を設立の日にしてください」
という申出をすることができます。

要件を満たしていれば、登記簿には、
会社成立の年月日 令和8年10月4日 という形で記録されます。

もちろん、日曜日に司法書士や会社の方が法務局へ行って登記申請をする、
という意味ではありません。

直前の開庁日に申請しておいて、
登記簿上の設立日を指定した休日の日付にする制度です。

 

これまでは、なぜ休日を設立日にできなかったの?

 

株式会社などの会社は、設立登記をすることによって成立します。

株式会社については、会社法第49条で、
「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすること
によって成立する
。」
とされています。

このルール(条文)自体は今も変わっておらず、
原則として法務局が設立登記の申請を受け付けた日が
会社の成立日になっています。

そのため、法務局が休みの土曜日・日曜日・祝日などを
受付日にできず、その結果、
その日を会社成立の日にすることができませんでした。

 

今回、何が変わったの?

 

2026年2月2日から施行された「商業登記規則等の一部を改正する省令」
により、新たに設立登記の特例が設けられました。

一定の条件を満たす場合には、申請者からの求めによって、
行政機関の休日を「指定登記日」として指定することができます。

指定できる「行政機関の休日」は、主に次の日です。

・土曜日
・日曜日
・国民の祝日など
・12月29日から翌年1月3日まで

これは、「行政機関の休日に関する法律」第1条に定められている休日です。

 

どんなときに使えそう?

 

例えば、次のようなケースが考えられます。

・4月1日を会社の設立日にしたい
・創業者の誕生日を設立日にしたい
・会社にとって意味のある記念日を設立日にしたい
・事業年度の初日と会社の設立日を合わせたい

特に「4月1日」は分かりやすい例です。

法務省の通達でも、
事業年度の開始日を4月1日にすることなどを目的として、
4月1日が休日の場合でも会社の成立日にできるようにしてほしい
という要望が多数あった
ことが、今回の制度改正の理由として挙げられています。

決算期を3月末にする会社であれば、会社成立の日を4月1日にそろえたい、
というニーズは確かにあると思います。

 

利用するための条件

 

好きな休日を自由に指定できるわけではありません。

主な条件は次のとおりです。

① 登記をすることによって成立する会社・法人等であること

② 設立登記の申請の際に、この特例を利用する旨と希望する設立日を
申請書に記載すること

③ 希望する設立日が行政機関の休日であること

希望する設立日の直前の法務局の開庁日に設立登記を申請すること

特に重要なのが④です。

例えば、日曜日を設立日にしたいからといって、
1週間前に申請しておくことはできません。

その休日の直前の開庁日に申請する必要があります。

 

土・日・月曜日と3連休の場合は?

 

ここも面白いところです。

例えば、

土曜日 休日
日曜日 休日
月曜日 祝日

という3連休だったとします。

直前の金曜日に設立登記を申請すれば、
この連続する休日の中から一定の要件の下、指定登記日を選ぶことができます。

つまり、会社の記念日にしたい日が連休中にある場合にも利用できる制度です。

 

オンライン申請でも利用できる?

 

できます。

窓口申請だけでなく、オンライン申請や郵送による申請でも、
この制度を利用することができます。

ただし、重要な注意点があります。

指定登記日の直前の開庁日の、法務局の開庁時間内に申請が到達し、
その日付で受付される必要があります。

特に郵送の場合、発送した日ではなく、
法務局に到着して受付された日が問題になります。

「金曜日に届く予定だったのに、月曜日に届いてしまった。」
ということになると、希望した休日を設立日にできなくなる
可能性があります。

この制度を利用する場合、個人的には郵送よりも、
オンライン申請や窓口申請の方が日程を管理しやすいと思います。

 

申請書には何を書くの?

 

書面で設立登記を申請する場合には、申請書の余白に、
この特例を利用する旨を記載します。

オンライン申請の場合は、「その他の申請書記載事項」の欄に記載します。

そして、「登記すべき事項」の中の「会社成立の年月日」には、
希望する休日の日付を記載します。

法務省から具体的な記載例も公表されていますので、
実際に利用する場合には、その記載例を確認して
申請することをおすすめします。

 

書類を休日の日付で作っていいの?

 

ここは注意してください。

設立日を将来の休日に指定できるからといって、
設立登記に必要な書類をその休日の日付で
後から作成してよいわけではありません。

設立登記の申請に必要な添付書類は、従来どおり、
設立登記を申請する日までに作成されている必要があります。

先ほどの例で、10月4日(日曜日)を設立日に指定し、
10月2日(金曜日)に申請するのであれば、
申請に必要な添付書類は、
10月2日の申請時点でそろっている必要があります。
(例外的な取扱は、後記参照)

 

雑感など

 

会社の設立日が1日違ったからといって、一般的には
会社の経営に大きな影響がある場合は
多くないでしょう。

その意味では、かなりニッチな制度改正だと思います。

ただ、会社を設立する方とお話ししていると、

「できれば4月1日にしたい。」
「この日が縁起がいいので、この日にしたい。」
「創業した記念日と合わせたい。」

など、設立日にこだわりを持たれる方は
意外といらっしゃいます。

特に4月1日や1月1日など、事業年度との関係で
分かりやすい日が休日に当たったときには、
実務上も使いやすい制度だと思います。

 

まとめ

 

今回の制度を簡単にまとめると、次のとおりです。

・2026年2月2日から制度開始

・土曜日、日曜日、祝日などを会社等の設立日に指定できます。

・希望する休日の直前の開庁日に設立登記を申請する必要があります。

・オンライン申請、窓口申請、郵送申請のいずれでも利用可能です。

・ただし、郵送やオンラインでも直前の開庁日の開庁時間内に到達し、
その日付で受付される必要があります。

・添付書類は、従来どおり申請日までに作成しておく必要があります。
(なお、法務省の説明では、補正(訂正)で対応できる場合、
その限りにおいて許容されるときがあるとされてますが、
どの程度まで許容されるのかその限界がはっきりしないため、
現時点では補正対応を前提にスケジューリング等をするのは
避けた方が無難だと思います。(木崎個人の感想です。))

これから会社を設立される方で、
「この日を会社の設立日にしたい」という希望がある場合には、
最初の相談の段階で司法書士に伝えておくとよいでしょう。

 

ちょっと余談 「土曜日は役所の休日」は普通ではなかった

 

今回の制度でいう「行政機関の休日」について調べていて、
少し面白いことに気付きました。

現在では、法務局などの役所が土曜日・日曜日に休みなのは
当たり前のように感じます。

ところが、国の行政機関で、すべての土曜日が休日になったのは
平成4年(1992年)から
です。

それ以前は、役所も土曜日に仕事をするのが普通でした。

さらに昔は、現在のような完全週休2日制ではなく、
土曜日は午前中まで勤務する、いわゆる「半ドン」
という勤務形態が長く続いていました。

今回の記事でも登場する「行政機関の休日に関する法律」は、
昭和63年(1988年)に制定された法律です。

ただし、この法律ができた昭和63年の時点で、
いきなりすべての土曜日が休日になったわけではありません。

当初は、

毎月の第2土曜日・第4土曜日だけを休日にする

という制度でした。

つまり、

土曜日も勤務

第2・第4土曜日を休みにする

すべての土曜日を休みにする

というように、段階的に週休2日制へ移行していったわけです。

そういえば、私が小学生のころ、土曜日には学校へ
通っていました。

そして平成4年(1992年)に法律が改正され、
現在と同じようにすべての土曜日と日曜日が行政機関の休日となりました。

昭和の終わり頃までは土曜日にも役所が開いていた、
と考えると、現在とはかなり感覚が違いますね。

会社の設立日を休日にできるようになった今回の制度も、
こうした「役所の休日制度」の変化の延長線上にあると考えると、
少し面白いと思います。

 

条文・公的資料など

 

・商業登記規則第35条の4
・商業登記規則等の一部を改正する省令(令和8年法務省令第2号)
・令和8年1月21日付け法務省民商第8号法務省民事局長通達
・令和8年1月21日付け法務省民商第9号法務省民事局長通達
・行政機関の休日に関する法律第1条
・会社法第49条(株式会社の成立)
・行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)
・行政機関の休日に関する法律の一部を改正する法律(平成4年法律第28号)

 

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司法書士 木崎正亮

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