笑う相続人が発生する仕組み(原因)と対策。司法書士が解説します!
2018/05/02
最終更新 2020/05/03
この記事の目次
笑う相続人が発生する仕組み
資産価値の低い不動産が危ない
資産価値の高い不動産と資産価値の低い不動産があった場合、
資産価値の低い不動産のほうが、
笑う相続人が発生しやすいように感じます。
資産価値の高い不動産の場合、
遺産分けにあたり遺産から漏れる可能性が低い
(固定資産税が課税されている)、
被相続人や相続人の誰かが現に使用していたり、
資産として運用されていることが多いため、
遺産分けがきちんとなされます。
また遺産分けが済んだら、
速やかに名義変更の手続がなされることが多いからです。
それに対して、資産価値の低い不動産の場合、上記と逆です。
遺産分けにあたり、遺産として認識されていなくて、
そのままになっていることがあります。
例えば、道路の共有持分や
使用されていない山林、田畑で、
固定資産税が非課税だったり、免税になっている不動産は、
固定資産税課税通知書に不動産が記載されていないことがあります。
(市区町村で取扱いが異なることがあるかもしれません。)
遺産分割の話合いだけで安心してしまう
親族間で遺産分割の話合いがされて、
遺産分けが口頭で決まって、
あるいは、専門家の関与を受けずに
遺産分割協議書のようなものを作って、
安心してしまい、
そのまま放置されるというケースがあります。
先祖名義の不動産で、メインの土地を現にこれまで何の問題もなく
自分が使っていたのだから、
特に不安には思わないかたも多いでしょう。
将来、実際に名義変更登記をしようとしたときに、
書類の不備などで手続ができず、
結局、遺産分割をやり直さなくてはならなかったり、
裁判をしなければならなかったりすることがあります。
手間と費用がもったない
また、遺産として認識されていても、
現に使用していない土地だったりすると、
手間と費用をかけるのがもったいなくて、
そのまま放置していることがあります。
そして、数年から数十年を経て、
その不動産を売却したり、
メインの土地上に建物を建てようとしたときに、
名義人が祖父母や曾祖父母であることが判明します。
名義を変更するための手続を確認していると、
相続の登記が必要だということが判ります。
そして、相続人の調査を始めます。
曾祖父の名義だったりすると、
平成の時代と違い、子どもが沢山いたりします。
また、戦争や病気で早くに亡くなっている人もいたりします。
その亡くなって人に配偶者がいて、しかも子どもがいなかったりしたら、、、
もうほとんど赤の他人と言っても過言ではないような人が
相続人として登場することになります。
(この調査費用だけで何万~何十万円と必要になることもあります。)
ここで、資産価値がほとんどないのだったら、
少しのお金を払えば済む話と思えます。
しかし、実際には、その笑う相続人の法定相続分くらいのお金では、
手続に協力してくれない人がいらっしゃいます。
そうなると、「その人の権利を買い取る」みたいな話になって、
結果として、それなりのお金を支払わないと解決できない、
ということになります。
「そんなに高値をふっかけてくるのなら買わない」と
突っぱねても支障がない状態であればそれでも良いのでしょうが、
現に手続を進める必要があるから
笑う相続人の存在に気が付いたということでしょうから、
笑う相続人のほうが有利な立場にありますよね。
(なお、相続の場合、時効制度によって権利を取得したり失ったりすることは、
ほとんどありません。)
笑う相続人を発生させない 対策
相続人ができる対策
笑う相続人が発生しないようにするためには、
(1)遺産の調査をきちんと行う。
(2)早めに遺産分割の話合い、文書化をする。
(3)登記や登録が必要な財産は、名義変更の手続を完了しておく。
仮に現に使用していても、名義変更をしておく。
(4)この時点での若干の出費は、笑う相続人が出現したときの出費に比べて、
格段に少ない(通常)
この対策は、笑う相続人が発生しないようにするために
相続人ができる対策です。
相続される人(被相続人)ができる対策
被相続人ができる対策は、遺言が最も効果的です。
個別事情にもよりますが、
費用や手間も、そこまで大きな負担にならないことが多いように感じます。
そして、遺言の作成は、公正証書遺言をオススメします。
http://daifuku-law.com/archives/367
遺言書を作ろうかな!って思ったときが、遺言書を作るグッドタイミングです。
「遺言書の作成手順がよくわからん」というかたは、こちらをご覧ください。
http://daifuku-law.com/archives/798
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司法書士 木崎正亮
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司法書士・行政書士 木崎正亮
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