「笑う相続人」をご存じですか?危険なので対策を!司法書士が解説します!

2015/07/13
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最終更新 2020/03/31

 

笑う相続人って?

「笑う相続人」という言葉があります。

 

相続が発生した際に、

亡くなったかたとの関係が希薄だったり、

ほとんど無関係に近いにもかかわらず、

棚ぼた的に相続財産を取得できるような相続人

そのように呼ぶことがあります。

法律用語という訳ではありません。

 

実際に弊社が相談やご依頼いただく相続関係の相談の中にも、

「笑う相続人」がいらっしゃるケースが少なくありません。

(遺族の面前で本当に笑っているという人には、

これまでにお目にかかったことがないですが。笑 )

 

「笑う相続人」が発生する原因

次のような場合は、笑う相続人が発生しやすいので、特に注意が必要です。

・子どもがいらっしゃらないかたがお亡くなりになった

・両親に離婚歴がある

・両親に再婚歴がある

・相続の手続をしないうちに、また次の相続が発生した(数次相続:すうじそうぞく)

・不動産や預貯金などの資産が、かなりの歳月を経て発見された

・などなど

 

このようなご時世です。

それなりの費用や時間、精神的身体的な負担などのコストが思った以上にかかるんですよ。

 

「笑う相続人」を発生させない対策

注意が必要といっても具体的にどうすればいいのか?

と思われるかたもいらっしゃるでしょう。

 

具体的な対策としては、

(1)ちゃんとした遺言を作成すること

(2)相続が発生した後は、速やかに遺産分割協議などをして、かつ、

不動産や預貯金等の名義変更まで完全に終わらせること

 

です。

いずれも社会人であれば知っている人のほうが多いような、ありふれた対策ですが、

意外にできていないことが多いと感じます。

 

知っていても「笑う相続人」は発生してしまう

対策を知っていても、どうして笑う相続人が発生してしまうのか?

(1)ちゃんとした遺言を作成すること

については、

・そもそも遺言を作成していない、

・遺言があるけど、内容が不十分、

・遺言を作成した時期に問題(認知症など)があって遺言無効の疑念が生じた など

があります。

 

(2)相続が発生した後は、速やかに遺産分割協議などをして、かつ、

不動産や預貯金等の名義変更まで完全に終わらせること

については、

・そもそも話し合いをしていない

・遺産の確認が不十分で、後から遺産が見つかった

・話し合いをして、相続人の間で合意はできたけど、それを文書で残していない

・合意書は作成したけど、各種の手続を進めるために必要な条件を満たしていない

(記載方法、実印、当事者、印鑑証明書がない、協議書の原本が見つからないなどなど)

・各種手続ができるつもりで書類をそろえたが、いざ手続をしたら不足が見つかった

・昔だったら問題なかったが、時間の経過によって法律や運用が変更されたことで後から不具合が生じた など

があります。

 

思い込みは危険

「うちは、家族の仲が良いから」(頻出度ナンバー1)※

「うちには、もめるほど、財産がないから」(頻出度ナンバー2)※

・「父が口頭で長男に継がせると言っているから」

・「法学部出身なんで、相続のことくらいなら自分でちょっと本を読めばできるから」 など

 

(※いずれも、相続の準備や対策をしない理由にはなりません。

せっかく良好な家族の仲も、相続をきっかけに不仲になるケースは沢山あります。

財産がなくて、もめるケースは沢山あります。

現金や保険などの金融資産が乏しくて、主な遺産は自宅の不動産だけとか。)

 

このように色んな理由を付けて、

相続に関して何の準備も対策もしないのはもちろん、

準備や対策をしいているが、事案を十分に分析せずに

(というか、知識不足、経験不足等により、十分な分析ができずに)

専門家などの助言すら受けずに自己判断で行った結果として、

準備や対策としての意味をなさなかった(場合によっては、むしろトラブルが大きくなった)

というケースが散見されます。

 

まとめ

専門家に依頼したり、助言を受けて遺言を残す程度の費用は、

・家族が崩壊(離散)する、

・裁判や相続の手続に多大な費用や時間がかかる、

・笑う相続人に何百万円も渡す など

に比べたら、費用対効果がとても良いと思いますよ。

わずかの費用を惜しんで、大火事の原因となる火だねを残さないように気をつけましょう。

 

そういえば、先日の新聞記事で、

遺言に基づいて遺産を相続すれば残された家族の相続税の負担を減らせる

「遺言控除」の制度を2018年までに創設して、運用開始したいというものが掲載されていました。

しかも、控除額は数百万円くらいで検討、

とのことでしたので、遺言を作る動機付けになりそうですし、楽しみですね。

 

~「遺言控除」で相続トラブル防止 自民特命委が新設要望へ~

(2015.7.9日本経済新聞)

 

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最後までご覧くださり、ありがとうございました。

 

司法書士・行政書士 木崎正亮

~相続と中小企業の法務ドクター~

博多駅の司法書士・行政書士 だいふく法務事務所

 

注:一般のかたにとって解りやすい説明を心がけています。専門用語や細かい言い回しを極力避けているため、「法的に正確といえない」ような表現が含まれていることがありますので、誤解を招かないようにご注意ください。

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