逃げ得を許すな!民事執行法(差押えとか)の改正

2019/04/17
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2019/05/17 一部改定

 

民事執行法

(民事裁判に関係する財産差押えや競売、強制引渡しなどを定める法律)

の改正法案が2019年2月に国会に提出され、

2019年4月に衆議院で可決され、

参議院へ送られました。

2019年5月、参議院で可決され、改正法が成立しました。

2020年4月、5月くらいから運用が始まる感じでしょうか。

 

(主な改正点)

 

主な改正点は、次のとおりです。

(1)債務者の財産状況の調査に関する規定の整備

(2)不動産競売における暴力団員の買受け防止に関する規定の新設

(3)子の引渡しの強制執行に関する規定の整備

(4)債権執行事件の終了に関する規律の見直し

(5)差押禁止債権に関する規律の見直し

 

個人的には、特に

(1)債務者の財産状況の調査に関する規定の整備

に注目しています。

 

 

(現在の民事裁判制度の重大な欠陥の一つ)

 

現在、民事裁判制度の重大な欠陥の一つ

(と、私は思っています。)は、

例えば、損害賠償請求の裁判で勝って、

裁判所が加害者に賠償金の支払いを命じて、

加害者に財産があったとしても、

加害者が任意に支払をしてくれなければ、

★加害者の財産のありかを被害者が自助努力で探して★

差し押さえて支払いを受ける必要がある点です。

 

加害者の財産のありかを被害者が探すことは、

個人情報保護などが年々と厳しくなってきている

このご時世においては、とても難しく、

裁判に勝っても、実際にお金の支払いを受けることができない

というケースが珍しくないのです。

 

例えば、銀行預金を差押えようとした場合、

単に「○○銀行」では足りず、

「○○銀行 △△支店」まで特定しなければ、

裁判所は預金の差し押さえ手続を進めてくれません。

 

つまり、現在の日本の民事裁判制度は、

被害者が裁判に勝ったにもかかわらず、

被害者は結局賠償金を受け取れずに泣き寝入り、

加害者は金銭を支払うことなく逃げ得

ということになっているのです。

 

 

(財産開示制度に実効性を持たせる)

 

現在も、債務者の財産開示を目的とする「財産開示制度」

というものが平成16年から導入されたのですが、

現在ほとんど機能していません。

 

機能していない理由は、

開示を命じられた場合、嘘をついたり、無視したりしても、

ほとんどペナルティを受けないことにあると思います。

 

現在は、30万円以下の「過料」(かりょう・あやまちりょう)

というペナルティしかありません。

過料とは、罰として金銭を強制徴収する制度ですが、

刑事罰ではありません。

 

今回の改正では、このペナルティが強化されて、

刑事罰に格上げ(?)になりました。

 

具体的には、

財産開示義務のある債務者が次のいずれかに該当すると、

6か月以下の懲役または50万円以下の罰金

を科されることになります。

 

(1)裁判所から呼び出しを受けたにもかかわらず、

正当な理由なく出頭しない。

(2)裁判所の呼び出しに応じて出頭したが、宣誓を拒否した。

(3)宣誓したにもかかわらず、必要な事項を陳述しない。

(4)宣誓したにもかかわらず、虚偽の陳述をした。

 

刑事罰ということは、

単なる民事で収まらず、最悪の場合

刑務所に服役させられることになりますし、

刑事罰を科せられれば、

当然いわゆる「前科」が残ることになります。

 

これは、過料よりも強い、

裁判所の命令に従わせる強制力が働くことを期待できます。

 

裁判で金銭の支払いを命じる判決を得たにもかかわらず、

相手方がその支払いをせず、かつ、

相手方の財産の所在がわからずに泣き寝入りを

せざるを得なかった被害者には朗報です。

 

 

(第三者からの情報取得制度の新設)

 

第三者から債務者財産に関する情報を取得できる制度が

新たに設けられます。

 

(1)債務者の★預貯金★債権等に係る情報の取得

→ 裁判所を通じて銀行などに預金情報の提供を

受けることができる。

 

(2)債務者の★不動産★に係る情報の取得

→裁判所を通じて法務局に所有者情報の提供を

受けることができる

 

(3)債務者の★給与★債権に係る情報の取得

→市町村に給与の支払者(つまり勤務先)の

情報の提供を受けることができる。

→日本年金機構などに債務者への報酬等支払者

の情報の提供を受けることができる。

 

なお、(3)の勤務先の情報の取得については、

請求している権利の内容が

・養育費の支払い請求権

・人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権

のいずれかの場合に限って認められます。

 

これは、債務者のプライバシーに配慮したのでしょう。

 

 

(運用開始時期)

 

参議院で可決されれば、改正法が成立します。

法律の運用が始まるのは、改正法が官報に掲載されてから

1年以内となっていますので、

順調に進めば、2020年には運用が始まりそうです。

 

 

手元にある判決書などは、

紛失しないように、きちんと保管しておきましょう。

(紛失した場合は、判決書の再交付の手続が必要です。)

 

それと、勝訴の判決を取っていたとしても、

権利が消滅時効にかかることがあります。

(判決の確定日から10年)

そのような場合は、時効を中断する策を講じておくことも

必要かもしれません。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

木崎正亮

 

改正情報は、こちら(法務省)

 

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司法書士・行政書士 木崎正亮

 

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