新制度、遺言書を法務局が安全に保管してくれるようになります!

2018/09/04
Pocket

【新しい制度】

自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を法務局で保管してくれる制度が

遅くとも 2020年7月13日までに始まります。

 

どうしてこんな制度を作ったのでしょうか。

 

近年、高齢社会の進展で、相続に関する関心が市民レベルで高まっています。

 

公正証書遺言の作成件数は、概ね右肩上がりで増加しています。

 

平成20年   76,436件

平成29年  110,191件

9年で約1.44倍になっています。

(日本公証人連合会のホームページから引用)

 

本人が自分で書く自筆証書遺言は、

気軽に書ける反面、

書いた後に紛失したり、改ざん・隠ぺいされたりというデメリットもあります。

また、自筆証書遺言の場合は、遺言者の死亡後に

家庭裁判所で「遺言書の検認」という手続を経なければならないのですが、

遺言書保管制度を利用した場合は、この「遺言書の検認」の

手続を受ける必要がなくなります。

 

※遺言書の検認の手続を受けなくても

遺言書が無効になったりするわけではありませんが、

これを受けていないと銀行や不動産の相続手続を

進めることができないので、

通常は速やかに遺言書の検認を受けることになります。

 

そこで、これらのデメリットを補う制度として

法務局における遺言書保管制度が新たに設けられました。

 

個人的には、自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的な位置づけだと思っています。

 

 

【保管制度を利用するメリット・デメリット】

 

(主なメリット)

・遺言書を安全に保管できる。災害に強い。改ざん・隠ぺいされない。

・「遺言書の検認」が不要になる。遺言者死亡後の相続手続がスムーズです。

・存在するはずの遺言書が見つからない、という事態を避けられる。

(生前に「遺言を書いているから」と言っていたが、

探しても見つけることができなかった、というケースを避けられる。)

 

(主なデメリット)

・本人が法務局に必ず出頭しなければならない。

・遺言の内容について審査される仕組みになっていないので、

内容に法的な問題(トラブルの種)を含んだ遺言書が作られてしまう。

(日付の記載、氏名の記載などの形式面のみが審査対象されます。)

・若干の費用がかかる。

 

【具体的な手続 概略】

 

・自筆証書遺言を法務局に本人自らが出頭、持参し、

・法務局で厳格な本人確認をされたうえで

・遺言書の原本を保管してもらう、

という流れです。

 

法務局における遺言書保管制度の資料

【代理人での手続】

 

事の性質上、厳格な本人確認が求められますので、

代理人による方法は認められません。

 

ご病気などの事情で法務局に出頭ができない場合は、

代替制度が用意されていないので、

この遺言書保管制度を利用することはできません。

 

法務局に出頭できない場合は、

公正証書遺言の作成を検討してみましょう。

公正証書遺言を作るときは公証人の出張制度があるため、

自ら出頭ができなくても、公正証書遺言を作ることができます。

 

【申請・保管の管轄】

 

申請ができる法務局(管轄)は、次のようになっています。

・遺言者の住所地を管轄する法務局

・遺言者の本籍地を管轄する法務局

・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局(不動産の管轄とは少しずれるかもしれません。

・既に遺言書を法務局に保管していて、追加で遺言書を保管する場合は、既に遺言書を保管している法務局

※つまり、複数の遺言書を保管できることになっています。

 

【所要時間】

 

条文上は明かではありませんが、

保管受付の審査は、

・遺言者の本人確認

・遺言書の形式要件の確認

に限られるようですので、

登記申請手続のように日数を要するものではなく、

通常は、その場で終了するものと思われます。

 

特に高齢者に何度も窓口に出頭させるような形にはして欲しくないですね。

 

【手数料】

 

遺言書保管の申請などでは、法務局に手数料を納めることになっています。

具体的な金額は未定で、今後、法令で決められます。

 

【秘密の保持】

 

遺言者の生存中、遺言者以外の人は、保管している遺言書を

閲覧したりできませんので、

遺言の内容を秘密にすることができます。

 

【保管を取りやめる「撤回」】

 

保管を取りやめる場合(これを「撤回」といいます。)は、

遺言書を保管している法務局に本人自ら出頭して

保管を取りやめる「撤回書」を提出すれば、

いつもで取りやめることができます。

(保管の申請時と同様に、厳格な本人確認が実施されます。)

 

なお、撤回は、無料できるようです。

 

【保管遺言書に関する各種証明書など】

 

(遺言書情報証明書の交付請求)

 

相続人や受遺者(遺贈を受けた人)などは、

スキャンされた遺言書画像を用いた「遺言書情報証明書」の

交付請求をすることができます。

この請求は、全国の法務局(すべてではないかもしれません。)

でできるようになります。

遺言書情報証明書の交付請求は、

遺言者が亡くなった後でなければできません。

なお、手数料が必要です。金額は未定。

 

このことから、遺言書保管制度は、

コンピュータ・ネットワーク回線でシステムが構築されて、

運用されることが前提となっています。

(インターネットなのか専用回線なのかは不明。)

 

(遺言書の原本閲覧請求)

 

相続人や受遺者(遺贈を受けた人)などは、

遺言書原本の閲覧請求をすることができます。

この請求は、遺言書の原本が保管されている法務局に対してしか

することができません。

遺言書情報証明書の交付請求は、

遺言者が亡くなった後でなければできません。

なお、手数料が必要です。金額は未定。

 

(相続人や遺言執行者に対する通知制度)

 

遺言書情報証明書の交付請求か遺言書の原本閲覧請求

のいずれかの請求をすると、

法務局から相続人などに対し、

「遺言書を保管している旨」の通知が行く仕組みがあり、

他の相続人などに秘密に動いてもバレるようになっています。

 

(遺言書保管事実証明書について)(疑問点あり)

 

遺言書情報証明書以外に、遺言書保管事実証明書というものがあります。

遺言書保管事実証明書は、

・遺言書の保管の有無

・遺言書に記載されている作成の年月日

・遺言書を保管している法務局と保管番号

が記載された事実証明書です。

 

この遺言書保管事実証明書は、「何人も」請求できるとなっているので、

例えば

私が「木崎正亮」の氏名で遺言書保管事実証明書を請求すると、

木崎正亮が相続人や受遺者、遺言執行者として登録されている遺言書の保管の有無、

保管法務局などが判るという仕組みになっているようです。

つまり、自分が利害関係人になっている遺言書の存否を確認できる制度です。

 

(法務省ホームページ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 

【運用開始の時期】(疑問点あり)

 

法律の公布から2年以内となっていて、

公布日が2018年7月13日なので、

2020年7月13日までに運用が始まる予定です。

 

この点、インターネット上に、

この遺言書保管制度の運用が2019(平成31)年1月13日から始まる

という解説をしている記載がありました。

 

相続に関する民法改正のうち遺言書の要件緩和

(財産目録は手書きでなくてもOKになる。)の

施行日が同日になっていることに連動しているようですが、

少なくとも遺言保管制度を定める法律には、

そのような規定はないようです。

 

また、先にご説明したとおり、この遺言書保管制度は、

コンピュータ・システムを運用する前提になっています。

このシステムを作り、運用を始めるまでに半年しかないというのは、

予算や制作、試験運用などプロセスを経て運用開始になることを考えると、

かなりタイトで現実的でないスケジュールのように感じます。

 

ということで、2019年1月に運用開始というは

難しいと思うのですが、本当なんでしょうか?。

 

既に裏情報が出回っているのであれば、早く公開していただきたいです。

 

法務局における遺言書の保管等に関する法律(条文)

 

過去の記事は、サイトマップで検索することができます。

サイトマップのページを開いてから、

Ctrl + F キーを押すと

ページ内のテキスト検索(キーワード検索)ができると思います。

http://daifuku-law.com/sitemap

 

 

司法書士・行政書士 木崎正亮

 

~相続と中小企業の法務ドクター~

博多駅の司法書士・行政書士 だいふく法務事務所

 

注:一般のかたにとって解りやすい説明を心がけています。

専門用語や細かい言い回しを極力避けているため、

必ずしも正確とはいえない表現が含まれていることがあります。

本サイトに掲載している情報のご利用は、

自己責任でお願いいたします。

 

(I write English translation experimentally.

I do not guarantee accuracy of translation.)

 

Shiho-shoshi and Gyosei-shoshi MASAAKI KIZAKI

Daifuku Lawyer Office (Shiho-shoshi and Gyosei-shoshi) at Hakata Station

Address:2-24, Hiemachi, Hakata-ku, Fukuoka-shi, Fukuoka-ken Japan.

Phone:092-432-3567

 

Pocket

コメントは受け付けていません。