相続に関するルールの大改正(予定)。配偶者居住権、遺言書の保管制度、持戻し免除推定、特別寄与料などなど。
2018/01/17
最終更新 2018/03/14
この記事の目次
更新相続法の大改正
法務省は、相続に関する民法改正案を今度の通常国会に提出することになりました。
大きな改正になるようです。
民法改正(相続分野)の要綱案の主なポイント
1(配偶者の居住権の保護)
配偶者が相続開始時に居住している被相続人所有の建物に住み続けることができる「配偶者居住権」という権利を創設し、
遺産相続の選択肢の一つとして取得できる。
配偶者が自宅の土地建物を相続しなくても、
居住する権利が保護されて、安心して暮らすことができることが期待される。
2(遺産分割)
婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、
配偶者が居住用の不動産(土地・建物)を生前贈与したときは、
その不動産を原則として遺産分割の計算対象から外す。
(いわゆる「持戻し」を免除する意思表示があったものと推定するルールを新設。)
法定相続分や遺留分の計算にあたり、
配偶者が預金などをより多く相続できて、
老後の生活資金を確保しやすくなることが期待される。
預金の仮払い制度の新設。
遺産に含まれる預金の一部について、
相続人がその法定相続分について単独で銀行から払戻しできる権利をルールを新設。
遺産の預金があるのに、いつまでも使えない、という不具合の解消が期待できる。
3(遺言制度)
自筆証書遺言の「財産目録」の部分については、
自筆ではなくパソコンなどでも作成できるようになる。
法務局で保管された自筆証書遺言は、
法務局で検索して探せるようになる。
偽造変造の防止も期待できる。
保管している旨(あるいは、保管していない旨)の証明書の発行が受けられる。
現在は、銀行の遺言書預かりサービス(とにかくムダに高額で費用対効果に疑問。ほとんど看板料?)、
弁護士や司法書士が提供している預かりサービス(事務所によってバラバラ)などがある。
また、現在は、自筆証書遺言の場合、遺言者の死後、
家庭裁判所において遺言を確認して証拠保存する「検認」という手続をしなければ法務局や銀行の手続ができないが、
法務局に保管された自筆証書遺言の場合は、この検認手続が不要になる。
遺言執行者(遺言の内容を実現するために必要な行為をする人)に関する権原が明確になる。
4(遺留分制度の見直し)
遺留分(法定相続人の最低限度の取り分を認めるルール)の計算方法などに関するルールを見直して、
曖昧だった基準などを明確にする。
現在は、基準が不明確なことによって紛争が長引くケースも多いようだ。
5(相続の効力)
遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産は、
登記をしなければ第三者に権利を主張できなくする。
登記を速やかに行うように促す効果が期待できる。
自動車の登録なども、同様の取扱いになる。
6(相続人以外の貢献を考慮)
相続人以外の被相続人の親族(相続人の妻など)が
被相続人の介護や財産管理などにより被相続人の遺産の維持・増加に特別の寄与をした場合、
一定の要件を満たせば、相続人に対してその寄与の度合に応じて、
「特別寄与料」という金銭を請求できる。
なお、現在は、相続人以外の人が介護などをしても、
それが金銭的に報われる可能性が低い。
直近の要綱案(たたき台)(法務省)(2018/01/17現在、要綱案は未公開のようです。)
法律案など(法務省)(2018/03/13公開)
(yahooニュース)
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司法書士・行政書士 木崎正亮
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