司法書士の制度が少し変わります。司法書士が自分の法律を解説!

2019/02/27
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最終更新 2020/06/11

 

 

司法書士に関する法律が少し変わります。

 

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2019年3月に国会に改正案が提出されて、

同年6月6日に国会で成立しました。

 

運用開始の時期は、2020年8月1日です。

 

今回はココが変わる!

 

今回の法改正による主な変更点は、次の3つです。

 

  1. 使命規定が置かれること。
  2. 司法書士法人を1人の司法書士で作れるようになること。
  3. 懲戒処分の責任免除期間(除斥期間)が設けられること。

 

順に、簡単に説明します。

 

※ 説明には個人的な見解を含んでいます。

異なる見解をお持ちのかたがいらっしゃるかと思いますが、お許しください。

 

 

1 使命規定が置かれること

 

これまでは、「目的」という条文があり、

司法書士は、

登記や訴訟などの手続の適正と円滑な実施に役立つ専門家

という位置づけでした。

ニュアンスとしては、「手続屋」といった感じでしょうか。

(個人的見解)

 

これが、「使命」という条文に変わりそうです。

単なる「手続屋」ではなく、

より積極的に国民の皆様の権利の擁護に努め、

自由公正な社会の実現に役立つように

その職務を果たすことを期待された

「法律事務の専門家」であり、

司法書士に対する世間からの期待度が少し上がった、

といった感じでしょうか。

 

改正後(新)司法書士法

(司法書士の使命)

第一条 司法書士は、この法律の定めるところにより

その業務とする登記、供託、訴訟その他の

法律事務の専門家として、

国民の権利を擁護し、

もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与すること

を使命とする。

 

改正前(現在)の司法書士法

(目的)

第一条 この法律は、司法書士の制度を定め、

その業務の適正を図ることにより、

登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、

もつて国民の権利の保護に寄与することを目的とする。

 

参考

弁護士法(弁護士の使命)

第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、

社会正義を実現することを使命とする。

 

2 司法書士法人を1人の司法書士で作れるようになること

 

これまでは、2人以上の司法書士経営者がいなければ

司法書士法人になれませんでした。

また、司法書士法人になった後に、諸事情によって

司法書士が1人になった場合は、

6か月以内に、共同経営者となる司法書士1人以上を入れないと、

強制解散というルールでした。

 

これが、1人の司法書士経営者のみで司法書士法人化

できるようなります。

 

この変更によって実際に司法書士法人が増えるのかは分りませんが、

選択肢が増えることは、基本的には、

司法書士にとっても利用者にとっても 良いことだと思います。

 

3 懲戒処分の責任免除期間(除斥期間)が設けられること

 

司法書士が犯罪行為や不正な行為などをした場合、

懲戒処分という制裁が用意されています。

 

制裁としては、業務禁止(3年間の司法書士資格はく奪)や業務停止などです。

 

この懲戒の理由となる事実が発生した日から

数十年も経ってから懲戒手続が始まっても、

当事者の記憶も資料も不十分であることが多い

ということを想像することは難しくないと思いますが、

理論上は、事実発生から数十年も経ってからでも

懲戒処分ができるルールでした。

 

これが、

懲戒の理由となる事実が発生した日から7年を経過したときは、

懲戒処分の手続をすることができない

ことなります。

(ちなみに、弁護士さんの場合は、3年です。)

 

この除斥期間は、懲戒に関するものであり、

民事の損害賠償請求や刑事の罰則とは関係ありません。

 

ついでに、懲戒の決定権が、法務大臣 に変わります。(今は、法務局長)

 

司法書士法(除斥期間)

第五十条の二 懲戒の事由があつたときから七年を経過したとき

は、第四十七条又は第四十八条第一項の規定による処分の手続

を開始することができない。

 

参考

弁護士法(除斥期間)

第六十三条 懲戒の事由があつたときから三年を経過したときは、

懲戒の手続を開始することができない。

 

 

 

まとめ

今回の司法書士制度の改正が

市民(国民)の皆様の利益(幸福)の増進につながることを願い、

自分自身も、より一層精進しなければならないと思う 今日この頃です。

 

ちなみに、不動産の境界などの専門家である

土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)の法律も

司法書士法と同様の改正がされることになりました。

 

条文など

 

  • 附帯決議

 

今回の法改正では、下記の附帯決議がされました。

個人的には、

三 空き家対策、所有者不明土地問題等での司法書士の活用

八 司法書士業務の周せん(あっせん)の禁止規定の整備(強化)

九 簡裁訴訟代理業務をできる司法書士(いわゆる認定司法書士)の

資質向上のための施策を検討

が気になりますね。

 

 

改正法の概要

 

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