一定の要件を満たす相続登記の税金が免除に。期間限定で。
2018/03/15
2018年4月1日から3年間、
次の要件を満たす相続登記の税金(法務局に納める登録免許税)が
免除になります。
(1)土地であること(建物は対象外)
(2)登記の名義人から相続した相続人についてさらに相続が発生したこと(いわゆる二次相続が発生)
(3)平成30年4月1日から平成33 年3月31日までの間に登記の申請をすること。
(1)について
この免税措置は、問題になっている「所有者不明の土地」に関する対策の一環です。
だから、建物は対象にしていないようです。建物はいつか朽ち果てるというのもあるのでしょう。
(2)について(ポイント)
典型的なケースは、次のような場合です。
下図で「本人」とは、相続登記の手続をしようとしている人です。
下図で「名義人」とは、相続登記の手続をしようとする土地の登記簿上の所有者です。
(相続関係図)
祖父(名義人)======祖母(先に死亡)
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――――――――――――――
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父====母 叔父
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本人
ⅰ 祖父が死亡(なお、祖母は先に死亡していた)
ⅱ 祖父の法定相続人は、父、叔父
ⅲ 土地について遺産分割協議などをしないまま放置していた。
ⅳ その後父が死亡した。
ⅴ 父の法定相続人は、本人と母
ⅵ 本人と母の間の遺産分割協議により本人が土地の持分を相続した。
ⅷ 本人が土地の持分を取得したことを登記しようとした。
この場合、登記の申請は、次のようにすることになります。
1件目の登記申請
所有権移転 年月日相続
相続人 持分2分の1 亡父 持分2分の1 叔父
2件目の登記申請
亡父の所有権持分全部移転 年月日相続
相続人 持分2分の1 本人
何だかややこしいですね。
本題に戻りますと、
2件のうち1件目の登記申請の登録免許税のみが免除の対象になります。
仮に上記の土地が1000万円(固定資産税評価額が基準)だとしたら、
4万円の税金を得したということになります。
2件目の登記申請の分は、免除されません。
土地の評価額に対して0.4%の登録免許税が課税されます。
仮に上記の土地が1000万円(固定資産税評価額が基準)だとしたら、
持分が2分の1なので、2万円(4万円の半分)の税金がかかります。
現在の法律では、不動産について相続の登記をして名義変更をすることは、
義務ではありませんので、
1件目の登記申請のみをして、2件目をしないということもできます。
(対抗要件の問題などから、おすすめはしませんが。)
☆上記のケースと似ていても結論が異なることがあります。
父が遺産分割や遺言で土地の所有権の全部を取得した場合です。
この場合の登記の申請は、1件でできます。
この場合は、免税になりません。
「死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記」ではないからです。
1件目の登記申請
所有権移転 年月日父が相続 年月日相続
相続人 本人
仮に上記の土地が1000万円(固定資産税評価額が基準)だとしたら、
4万円の税金がかかります。
3について
読んでのとおり、3年間の期間限定です。
ただし、延長される可能性もあるでしょう。
(総括)
結論としては、この免税措置を受けられるケースは限定されているということです。
「たまたま要件に該当」したら「ちょっと得した」くらいに考えていたほうが良いと思います。
4 土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設
(1)相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が平成30年4月1日から平成33 年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
(2)個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)の施行の日から平成33 年3月31 日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、当該移転登記の時における当該土地の価額が10 万円以下であるときは、当該移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。(平成30年税制大綱から引用)
司法書士・行政書士 木崎正亮
~相続と中小企業の法務ドクター~
博多駅の司法書士・行政書士 だいふく法務事務所
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