この時期、生前贈与を利用して大事な人に財産を残すかたが増えてます。
2017/10/20
もう10月も後半になり、年末の足音が聞こえてきました。
さて、「生前贈与」という言葉をお聞きになったことはありませんか。
【生前贈与って?】
生前贈与とは、
遺産になりそうな財産の一部(あるいは全部)を
自分が生きているうちに(つまり「生前」に)「贈与」して、
財産を譲り渡す場合に使われる言葉です。
(贈与=贈与契約)
年末が近づくと、生前贈与の相談やご依頼が増えてきます。
その理由の一つが、暦年贈与課税制度を利用した贈与を考える方がいらっしゃるからです。
【暦年課税制度って?】
暦年贈与課税制度とは、
贈与税の計算方法の一つで、
毎年1月1日から12月31日までの1年間に
贈与によりもらった財産の価額を合計して、
贈与税課税の計算をする制度です。
(他に相続時精算課税制度というものがあります。)
贈与によりもらった人ごとに
1年間に110万円の控除(課税されない部分)があるので、
これを利用して子や孫などに贈与します。
贈与する財産の種類に制限はありません。
贈与財産の代表格は、やはり現金や預金です。
簡単に分けることができますし、計算がし易いです。
不動産を贈与する場合もあります。
何千万円もする不動産の場合は他の方法(法人化したり、民事信託を利用してみたりなど)を取ることもありますが、
数百万円くらいの不動産であれば、1回で贈与したり、複数回に分けて所有権の持分を贈与したりします。
【暦年課税制度の計算例:勘違いしないように気を付けて!】
(具体例 1)
サザエさん(贈与によりもらった人)が、2017年中に、
ナミヘイさんから110万円の現金を、
フネさんから110万円の現金を
それぞれ贈与によってもらった場合、贈与税はどうなるでしょうか?
2017年11月1日に
ナミヘイさん →110万円の現金を贈与→ サザエさん
2017年12月1日に
フネさん → 90万円の現金を贈与→ サザエさん
サザエさんは2017年の1年間に200万円の贈与を受けたので、
110万円を控除した残りの90万円に贈与税が課税されます。
このケースでは「課税されない」と勘違いしておられるかたが結構いらっしゃいます。
基準は、贈与した人(ナミヘイさん・フネさん)ではなく、
贈与を受けた人(サザエさん)です。
(具体例 2)
サザエさん(贈与によりもらった人)が、
2017年12月に、ナミヘイさんから110万円の現金を、
2018年1月に、ナミヘイさんから110万円の現金を
それぞれ贈与によってもらった場合は、どうでしょうか?
2017年12月1日に
ナミヘイさん →110万円の現金を贈与→ サザエさん
2018年1月1日に
ナミヘイさん →110万円の現金を贈与→ サザエさん
(つまり、サザエさんは、約1か月の間に220万円を波平さんからもらった。)
年をまたいでいますので、
2017年分の110万円の控除、
2018年分の110万円の控除
をそれぞれ使えるため、
贈与税が課税されません。
(具体例 3)
具体例1とは異なり、
ナミヘイさんが、2017年中に、
サザエさんに110万円の現金を、
マスオさんに90万円の現金を
それぞれ贈与によりあげた場合には、どうでしょうか?
2017年10月1日に
サザエさん →110万円の現金を贈与→ ナミヘイさん
2017年12月1日に
サザエさん → 90万円の現金を贈与→ フネさん
サザエさん(またはマスオさん)がナミヘイさん以外の人から贈与により財産をもらっていなければ、
110万円の控除の範囲内の贈与になるので、贈与税が課税されません。
【贈与契約書は必要なのか?】
結論から言うと、
贈与契約書は作るべきです。
贈与契約は、口約束ですることができます。
しかし、他人(税務署とか裁判所とか)が見たときに、
そのお金が「あげたもの」なのか「貸したもの」なのか、「何かの返済」なのかなどが判りません。
また、口約束の贈与は、いつでもキャンセルできる というルールがあります。
ですので、贈与をする場合は、そのお金が贈与であることをきちんと証拠で示せるように贈与契約書を作りましょう。
暦年課税制度の詳しい計算方法は、こちら↓↓↓
(国税庁 タックスアンサー)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm
司法書士・行政書士 木崎正亮
~相続と中小企業の法務ドクター~
博多駅の司法書士・行政書士 だいふく法務事務所
注:一般のかたにとって解りやすい説明を心がけています。専門用語や細かい言い回しを極力避けているため、必ずしも正確とはいえない表現が含まれていることがあります。本サイトに掲載している情報のご利用は、自己責任でお願いいたします。
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