兄弟の中で私が親の世話をしてきました。相続分、少しくらい増えますよね!?

2015/02/24
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実際に親の介護や身の回りの世話に関する負担が一部の子ども(子どもといっても50~70歳代とか)に偏っている場合に、その子どもから「自分の取り分は多いのですよね?」という質問を受けることがよくあります。

「兄弟の中で私だけが親の介護をしてきたのだから、私の相続分は増えて当然でしょう。」というお考え・お気持ち。わかります。けれども、結論として、ほとんどのケースで、このような言い分は(法的には)通りません。(つまり、介護負担の偏重は、法定相続分に影響を与えません。)

 

民法には、相続分について「寄与分」というルールが置かれています(民法第904条の2)。これは、相続人の行為により「被相続人の財産が維持または増加された」といえる場合に、「特別の寄与」として、その相続人の相続取り分を増やすためのルールです。しかし、通常の介護の場合、「その介護によって被相続人の財産が維持または増加された」と評価されにくく、この特別の寄与に該当しないと判断されてしまいます

このように寄与分が難しい場合は、相続分を他の相続人よりも増やしてもらう内容の遺言を書いてもらう方向で話を進めることが多いです。もっとも、「親に遺言を書いてもらえるように言いにくい」とおっしゃるかたも沢山いらっしゃいます。これはとても難しい問題だと思います。

例えば、「書いて」とお願いすることに心理的な抵抗があるのであれば、遺言の書き方等の書籍を目の見えるところに置いてみる、(不謹慎でありますが、)親の知人がお亡くなりになった際に実際に相続で揉めた(揉めている)らしい、といったことをほのめかして、本人に気にしてもらえるように仕向けてみましょう

本人が気にしているようであれば、「相談に行ってみたら?無料で相談を受けられる場所もあるみたいよ」と、少しでも関心を持ってもらえるように促してみましょう。弊社にご相談されて遺言を書くことを決心されるかたも相当数いらっしゃいますよ。

ご参考までに、法務省の相続法制検討ワーキングチームでは、今後の法改正を検討する中で、介護の負担偏重も衡量できるようにしてはどうか、ということが議題に上がっています。(そのような介護偏重が、寄与分の対象に原則としてなりにくいということを意味しているとともに、現状の遺産分割協議の中で介護偏重の問題が取りざたされることが多いという実情を踏まえてのことです。)

(法務省 相続法制検討ワーキングチーム)

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900197.html

 

司法書士・行政書士 木崎正亮

~相続と中小企業の法務ドクター~

博多駅の司法書士・行政書士 だいふく法務事務所

 

注:一般のかたにとって解りやすい説明を心がけています。専門用語や細かい言い回しを極力避けているため、「法的に正確といえない」ような表現が含まれていることがありますので、誤解を招かないようにご注意ください。

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