相続法改正情報 : 遺産分割前の預金払戻し制度

2019/07/29
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2019年7月1日から

相続に関するルールの一部が変わり、運用が始まりました。

 

 

(遺産分割前の預金の払い戻し制度の導入)

 

今回は、遺産分割前に預金の払戻しができるようになった です。

 

詳細は割愛しますが、少し前から、

遺産相続の対象となった預金の払戻しは、

遺産分割が済んでからでないとできないルールでした。

(遺言書がある場合を除く。)

 

 

このルールが変わり、遺産分割が済む前でも、

一部の預金の払い戻しができるようになりました。

 

このルールは、2019年6月30日以前に発生した相続についても

適用されることになりました。

 

新ルール

法定相続人が遺産分割前に単独で預金払戻しを受けることができる額=

相続開始時の預金残高の3分の1 × その法定相続人の法定相続分割合

 

ただし、各金融機関ごとに、最大150万円です。

(同一の金融機関の複数の本・支店に相続預金がある場合は、

すべての本・支店の合計金額)

 

父(被相続人)

  |

―――――

|   |

A   B

A・B の各法定相続分は、1/2(50%)

なお、母は、先に他界

 

父名義の預金

(1)F銀行 本店  普通預金 900万円

(2)F銀行 本店  定期預金 600万円

(3)N銀行 N支店 普通預金 1200万円

 

遺産分割協議前にAが単独で払戻しを受けることができる金額は、

次のとおりです。

 

(1)F銀行 本店 普通預金 900万円 のうち

 150万円 です。

(計算)

(残高)900万円×1/3×(法定相続分)1/2=150万円

 

(2)F銀行 本店 定期預金 600万円 のうち

 66万円 です。

(計算)

(残高)600万円×1/3×(法定相続分)1/2=100万円

 

※普通預金と定期預金は、別々の債権(権利)なので、

別々に計算されます。

さらに定期預金は定期預金ごとに計算されるようです。

(ちょっと分かりにくいですね。)

 

(3)N銀行 N支店 普通預金 600万円

L支店 普通預金 600万円

(合計1200万円) のうち

 150万円 です。

(計算)

(残高)1200万円×1/3×(法定相続分)1/2=200万円

 

※計算結果が200万円ですが、上限150万円を超えているため、

150万円になります。

 

Aが実際に払戻しを受けた預金は、

その部分については遺産分割が一部成立したものとみなされます。

 

もしも、父が遺言書でBの法定相続分を超える相続分をBに遺していた場合は、

Aに対して返還請求をすることになります。

銀行に対して請求しても、

銀行にはBの法定相続分を超える部分について払戻し義務がありません。

 

そのような事態を防ぐためには、

自らが遺言書(または遺産分割)によって

法定相続分を超える相続分を相続した旨を

銀行に対して通知しておく必要があります。

(原則として、遺言書(や遺産分割協議書)の原本の提示が必要)

(対抗要件の具備)

 

 

(預金払戻し制度では足りない場合に利用しよう。「仮分割」制度)

 

「全体の3分の1×その人の法定相続分 または 一人150万円

のいずれが少ない金額が上限」

 

この上限を超える部分の払戻しが必要な場合は、

相続債務の弁済や生活費等に充てるためなど、

預金の払戻しを受ける必要があることを

疎明(そめい:証明よりも少し簡単な証明みたいなもの)できれば、

家庭裁判所が仮裁判で仮分割をしてくれる制度もできました。

 

この制度も、2019年7月1日から運用が開始されました。

 

この制度を利用する前提として、

家庭裁判所において

遺産分割の調停または審判の手続中であることが必要です。

 

民法

(共同相続における権利の承継の対抗要件)

第八百九十九条の二 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

 

(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額(※1)を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

 

民法 附則 (平成三〇年七月一三日法律第七二号)

(共同相続における権利の承継の対抗要件に関する経過措置)

第三条 第一条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)第八百九十九条の二の規定は、施行日前に開始した相続に関し遺産の分割による債権の承継がされた場合において、施行日以後にその承継の通知がされるときにも、適用する。

 

(遺産の分割前における預貯金債権の行使に関する経過措置)

第五条 新民法第九百九条の二の規定は、施行日(※2)前に開始した相続に関し、施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも、適用する。

2 略

 

 

※1 法務省令で定める額は、150万円

※2 施行日は、2019年7月1日

 

(全国銀行協会作成のチラシ)

木崎正亮

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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